北島邦彦 殿

2007年4月

手紙は読みました。
恋人に振られた中学生のような文章で、栄光ある浅草橋戦士がみっともない。
 バイクについては、盗まれて置き場所が無くて困っていた貴君からの依頼で、私の事務所関係者ということにして、管理組合に費用を払い好意で場所を提供してきただけのこと、私から頼んで置いてもらっていたものではありません。
 私から出て行けと言わない限り、置いておくことも引き上げることも貴君の自由です。

 「電話での対応云々」については、誰であれ私の事務所の客人についてのある意図が感じられる貴君の詮索が不愉快だったわけで、まずはかかる貴君の無礼な行為を恥じ反省すべきです。さらに言えば「区議選をめぐっての意見の違い」についても、すでに今日の事態【註 革共同中央が結柴誠一氏と新城節子氏に対して即時議員辞職を強要し、それに対して杉並の支持者区民の大多数が猛反対していた問題のこと】がはっきりしていた昨年の12月前に、私からの求めに応じてようやく貴君自身の考えを聞くことが出来たわけで、この時期に及んでの貴君の態度表明が私に対して「誠実に向き合ってきた」と言えるのか疑問です。穿った見方をすれば、ずるずると説明責任を果たさなかったこと自体、過去4年近く続けてきた貴君への政治献金の打ち切りを引き延ばすためと勘ぐれないこともない。こういうのを政治的引き回し、利用というのです。

 古い話ですが1967年10月8日の第一次羽田闘争で、機動隊と対峙した弁天橋で聞いた北小路【北小路敏】さんの感動的なアジテーション。学園祭でメモを取りながら聞き入った本多【本多延嘉】さんの講演など、他党派とはいえこうした優れた指導者の下で闘える中核派の学友がある意味で心底羨ましく思えたことがありました。  それ以来、東京拘置所にいた4年間と転勤で離れた2年間を除いた40年近くここ杉並に住み、考え方の多少の違いがあっても陰ながら都革新の候補を応援し、投票してきました。それにも拘わらず、われわれ有権者が投票して選んだ議員に対して理由はどうあれ密室で辞任を強要し、今日まで営々と築き上げてきた杉並の住民運動をリセットしてまでも貴君たちが声高に叫ぶ「党の革命」とは一体何なのか、私にはさっぱり理解できません。それによって梯子を外されたご老人や障害者など社会的な弱者の怒りの声を、中核派と都革新の指導者は改めて真摯に受け止めるべきでしょう。

 貴君たちが言う「けしば、新城の議員病云々」は見当違いの誤り、中核派の理不尽な対応に怒ったわれわれ有権者の有志が、けしば、新城両氏に再出馬を説得した結果が今日の事態なのであり、両氏が再出馬を決意したとき集まったメンバーを目にしたとき、ほとんどの有権者は組織ではなく、人を見て支援し投票してきたという事実を改めて認識することが出来ました。
 前回の選挙【註 2003年4月の杉並区議選で北島氏は落選した】のあと、貴君が「けしば君に票を喰われたのが敗因」と言っていたことを記憶しています。しかしこれは間違い、一部に票割りの采配ミスがあったとしても、ひとえに貴君の力不足、そして自らの不徳の致すところと総括すべきです。

 私にも経験があるので、すべてを捧げてきたと言っても過言ではない「党」を喪った、けしば、新城両氏の苦悩は理解しているつもりです。ベンチが阿呆(ママ)だとプレイーヤーは苦労するもの、しかし今回のアクシデントを契機に、彼らが口に出せなかった党派という優先順位が無くなったことにより、すべての桎梏から解放されて私たちと同じ視線で物事を見て、討論し、判断、行動できるようになったことは、むしろ素晴らしいことだと考えています。今回の選挙については楽観はしていませんが、結果はどうであれすべての過程を共有していくことで、ここ杉並に新しい闘いの芽が確実に定着し、発展していくということの確信を得ています。杉並の最良の有権者に亀裂と混乱を持ち込んだ貴君たちの罪は大きい。階級闘争のある局面で革命党の存在が極めて重要なことくらいは理解しているつもり、しかし杉並には今の中核派は必要ない。前回の選挙で私の家族、社員、友人そして愛すべき酒場の仲間から私が集めていた40票前後の票は次回は貴君には確実にいきません。

なお 前進2287号【07年3月19日号】の4面に革命軍による「二人を徹底的に打倒しなくてはならない」というような声明【東京西部地区委員会署名論文】が掲載されていました。この業界用語が如何なることを意味するのか判りませんが、くれぐれも愚かな行為は慎むように、念のため。
急々舌代

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

付)北島邦彦氏から区民への手紙

○○○○様
長い間お世話になりましたが、バイクを駐輪場から引きあげていきます。ありがとうございました。
今回の区議選をめぐっては○○さんとは意見を異にすることになり、それは残念なことでした。けれども私としては、○○さんに対しては誠実に向きあってきたつもりでした。しかし昨日の電話での対応を聞き、それも私のひとり合点だったようですね。
それでは、また。

4/8
北島邦彦

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

INDEX
inserted by FC2 system