革命的共産主義者同盟第25回全国委員会総会
【第1報告】
プロレタリア世界革命の急速な接近と革共同の任務体系
11月1万人決起を実現し、日本革命勝利へ大前進を

革共同書記長 天田三紀夫

T 労働者階級の憤激で自民党政権を打倒

1 大恐慌の爆発のなかで自民党が大崩壊

 7月12日の都議選と8月30日の総選挙は、戦後史の巨大な転換点となった。総選挙では、自民党は300議席から119議席に激減、民主党は115議席から308議席へと急伸し、戦後初めて単独で300議席を超える政党として登場した。既成の一切をうち破る労働者階級の憤激がこのことを生起させたのだ。それは自民党解体とも言うべき壊滅的打撃をブルジョアジーに与えた。
 階級支配の全面的崩壊の始まりである。まさに、労働者階級が自民党打倒を主体的に引き寄せ、闘いとった革命情勢だ。このことは、革命派と体制内派、革命派とファシスト運動とが力ずくの非和解的激突に突入したことを意味する。中間的な道はない。まさに労働者階級人民が待ちに待っていた情勢の到来だ。
 55年体制下で(93年の一時期を除く)、自民党はじつに50年以上にわたって支配政党として君臨してきた。そのかん、ロッキード事件やリクルート事件のように政治的腐敗と派閥利益優先の抗争にまみれてきた。まさに腐敗の極致であった。その自民党とその支配を労働者階級人民が鮮やかに打倒したのだ。

2 それは新自由主義攻撃の一大破綻である

 55年体制下の最大の攻撃こそ、80年代の国鉄分割・民営化攻撃であった。分割・民営化攻撃は、労働組合を解体した。それは、総評・社会党のみならず、協会派・日本共産党をはじめ全党派をたたきつぶした。そして、その攻撃の先兵となったのが反革命カクマルであった。ここにJR資本・自民党・カクマル反革命の結託体制がつくられた。
 他方で、分割・民営化絶対反対の階級的原則に立脚した動労千葉のみが、闘って闘って闘い抜いて労働組合の団結を維持してきた。
 80年代の分割・民営化攻撃は、新自由主義攻撃の全面化を意味した。新自由主義は、〈規制緩和・民営化・労組破壊〉によって、労働者から賃金・年金・医療・介護・福祉・教育を奪い、世界中に貧困を拡大し、ついにその矛盾を大恐慌として爆発させ破綻した。
 だが、それだけではない。「資本の自由」を叫び、労組を破壊し、低賃金を求めて世界大的規模で資本を輸出し、世界規模で小生産と農業を破壊した新自由主義は、「資本の墓掘り人」たる労働者階級の国境を越えた階級的団結を拡大するという結果をもたらした。そして、労働者階級と資本家階級の、「賃労働と資本」の非和解的激突関係を白日のもとにさらけ出したのである。
 新自由主義の破綻は、世界大恐慌下で、より凶暴化した〈侵略戦争と階級戦争〉〈体制内労働組合の取り込みと労働者階級の分断・団結破壊〉攻撃となっている。資本による〈戦争・改憲、民営化・労組破壊〉という同質の階級戦争が、全世界の労働者に襲いかかっている。こうして、世界大恐慌、戦争と大失業をプロレタリア世界革命に転化する時代が、ついに現実に始まったのである。

3 民主党・連合政権と全面対決――

  11月1万人決起こそわれわれの回答
 いま自民党をはじめ一切の支配政党・体制内政党がすさまじい危機感をいだいている。その危機感の根底には、プロレタリア革命への恐怖と憎悪がある。民主党と連合は、自分たちこそが資本主義の「救済者」であることを露わにして登場した。民主党マニフェストは、戦争・改憲、道州制・民営化攻撃に突き進む宣言である。「無駄遣いの根絶」、これこそ公務員労働者への賃下げと首切り宣言だ。360万人の首切り、大増税、改憲は戦争体制をつくる攻撃だ。
 日共スターリン主義、社民党=社会民主主義も民主党と完全に一体化して進んでいる。われわれは今こそ体制内派を打倒し、国際階級闘争の発展のダイナミズムのなかでプロレタリア世界革命へと突き進む秋だ。

4 労働組合をめぐる攻防こそ最大の階級決戦

 求められているのは、大恐慌をプロレタリア革命に転化する決起である。総選挙で爆発した労働者階級の怒りをプロレタリア革命へと訴える、党と労働組合の鮮烈な登場である。大激動を革命情勢としてとらえきる革命的労働者党の存在であり、断固たる革命的行動である。
 こうした革命的激動の情勢だからこそ、国鉄をはじめとする4大産別決戦を革命戦略としてうち立て、「戦争・改憲と民営化・労組破壊絶対粉砕」「道州制・民営化粉砕」を掲げ、「1047名解雇撤回・農地死守・国際連帯」の11月労働者集会1万人決起へひたすら進撃することができる。これこそ革命の最短コースだからだ。
 民主党政権は、連合=体制内労働運動との結託政権である。労働者階級にとって許しがたい存在だ。だが、職場生産点(や大学)を土台にし拠点にして闘うことによって、それは決定的破綻点になる。民主党・連合政権と全面的に激突し勝利することは、階級的・戦闘的・原則的に闘う労働者階級人民にとって、まさに千載一遇のチャンスである。職場生産点で闘う者のみが勝利をかちとることができる。このような時代へ勝利的に突入したのだ。この革命的結論を厳粛に確認したい。

U 24全総以降の政治的・組織的総括

1 階級的労働運動の実践の開始と労働運動をめぐる攻防に全国で突入

 革共同は、2007年秋に23全総・24全総と連続的に全国委員会総会を開催し、07年12月には関西党員総会を、08年には全国代表者会議を開催して路線的・綱領的・組織的一致をかちとりつつ、労働者階級の大地で階級的労働運動の実践を力強く開始した。
 なかでも、08年2・22決起(旧弁護団解任)を軸とする5・27裁判闘争勝利への大転換はきわめて大きな意味をもつものであった。それは、奴隷の道を強要する旧弁護団の裁判闘争(方針)を拒否し、労働者階級解放の立場から自己解放的裁判闘争を闘うことを決定的に鮮明にさせるものであった。このことが体制内派、4者4団体派との激烈な闘いの引き金となった。
 JR資本と全労働者・国鉄労働者はますます非和解的関係になっている。JR資本は労働者階級人民にたいする全面的敵対を強めている。国鉄分割・民営化攻撃に大失敗したJR資本は、労働者階級の階級的団結の破壊をめざし、ひたすらJR資本が生き残るために道州制攻撃の先取りとも言える攻撃を全面的にかけてきている。JR体制の矛盾は、安全問題、要員問題、結託体制破綻問題として爆発している。
 21世紀に入りJR資本は、連続的に労組破壊、階級的団結破壊のかぎりをつくす攻撃をかけてきた。
 ▼2000年3月、「ニューフロンティア21」と合理化攻撃(「シニア協定」外注化攻撃)
 ▼2000年9月、「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」(設備21)
 ▼2000年11月、中期経営構想「ニューフロンティア21」
 ▼2001年11月、「新保全体系」
 ▼2002年2月、中期経営計画「ニューチャレンジ21」
 ▼2003年、「車輌メンテナンス近代化第V期」による合理化推進
 ▼2005年1月、JR東会社「ニューフロンティア2008」攻撃
 ▼2005年3月、JR貨物会社「ニューストリーム2007」攻撃
 ▼2006年10月、JR東日本「ライフサイクルの深度化」攻撃
 ▼2008年、JR東「グループ経営ビジョン2020に挑む」を提示
 ▼2008年10月、「首都圏グループ会社と整備会社の統廃合」攻撃
 ▼2009年、「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」(設備21)
 これらは、全面的外注化と極限的合理化攻撃だ。設備部門(保線・土木・建築・機械・電力・信号通信)、運輸車輌部門(車輌検修業務・構内入れ替え作業)である。これは、JR本体の技術の継承性を完全に解体し、絶対的安全の崩壊へと突き進むものである。また、現在の7万5000人体制から、さらに1万人の削減は、第2の分割・民営化攻撃そのものであり、賃金体系の改変を狙い、総額人件費削減を全面的に貫こうとするものだ。「ステーション・ルネッサンス(=駅の再開発計画)」は、鉄道事業のあり方を抜本的に変える攻撃である。
 JR東会社の「新保全体系」は、車輌の交番検査を実質的に月単位から年単位に削減する攻撃であり、要員削減と安全無視のとんでもない攻撃である。  ライフサイクルの深度化攻撃は、40歳までの労働者、「平成採」の青年労働者が対象である。それは直接的には、20年以上も駅輸送職(駅で運転取り扱いのできる専門職)を養成してこなかったことによる。駅輸送職が絶対的に足りないのだ。この要員不足を運転士からの移動で穴埋めしようとするものだ。青年労働者をたらいまわしにし、階級性を解体し、労働組合を破壊し、青年の未来を奪うとんでもない攻撃である。しかも、40歳以下の駅輸送職は、首都圏7支社で150人あまりしかいない。20年間でたったそれだけの要員しか養成してこなかったのだ。
 きわめつけは、「首都圏グループ会社と整備会社の統廃合」攻撃である。これは、分割・民営化攻撃のときに、国鉄利権の分どりあいで、首都圏各社が独自のグループ会社を設立したことによる。JR総連・松崎も深ぶかと関与した。労資結託・癒着の象徴であるJR高崎商事などは利権の温床である。JR東(清野体制)は、そこに手をつけようとするものだ。
 それは首都圏7支社(東京・横浜・八王子・大宮・高崎・水戸・千葉)の12企業をすべて廃止し、JR本社傘下グループに統合するというものだ。それは労働者にとって「解雇・選別雇用」の大合理化攻撃となる。また、道州制型攻撃そのものである。実施日を09年4月1日と発表している。
 青年労働者には怒りが充満している。まさに、国鉄労働者に襲いかかっているこの現実の怒りを共有し、ともに決起することが求められている。
 この敵の大攻撃とどう闘うのか。それは、動労千葉労働運動がぶちぬいた力、反合・運転保安闘争を職場闘争として組織することである。われわれは、決定的な国鉄決戦の基軸的武器を1047名解雇撤回闘争としてすでにもっている。それは労働組合のなかに百万の支援陣形を形成している。4者4団体派を打倒し、体制内派を打倒する闘いを職場生産点から噴きあげることである。1047名解雇撤回闘争は、この一点で1万を組織できる根底的組織方針なのである。
 この闘いはすでに、1047名闘争団のなかにすでに分岐をつくりだしている。4者4団体派と全面的に闘い、動労千葉派が国鉄労働運動のなかに確固として闘う柱をうち立てることが、一切の鍵である。
 他方、国鉄決戦と一体となって、08〜09年をとおして道州制攻撃にたいする路線的武装を徹底的に強めた。道州制攻撃こそ、公務員労働者360万人をいったん全員解雇する大攻撃である。大量首切りであり、労働組合破壊である。国・自治体を丸ごと民営化する「究極の民営化」である。そして「この国の形を変える」と標榜しているように改憲攻撃そのものである。
 これにたいし、われわれは道州制・民営化絶対反対―橋下打倒で09年3月関西の地から闘いを開始した。8月の自治労熊本大会には、全国労組交流センター自治体労働者部会を先頭に一切のあいまいさのない階級的・原則的立場で、すなわち道州制絶対反対・自治労本部打倒の旗を高だかと掲げて登場しぬいた。道州制・民営化を全面的に推進し、労働組合であることをやめて自治労を産業報国会に変質させる歴史的裏切りにたいして、全国から駆けつけた闘う労働者の激しい怒りと弾劾をたたきつけたのだ。こうして体制内派・4者4団体派との分岐と激突は、08年2・22決起を皮切りに、一気に激化・拡大している。
 現在の日本労働運動の特徴は、体制内派との激突を攻勢的に闘うことによって圧倒的な前進を切り開くことができることにある。8・30情勢のなかですべての既成政党が総転向・総屈服するなかで、唯一11月派が絶対反対派として旗幟をいよいよ鮮明にさせていることが決定的であり勝利なのだ。
 4大産別決戦にさらに徹底的に総決起しよう。4大産別の労働者の現実は、派遣切り、賃下げ・首切り、強制出向、「日の丸・君が代」強制、「分限免職」、人事評価制度導入、職場活動破壊・組合運動破壊、非正規職と正規職の分断、団結破壊、「日勤教育」と、ありとあらゆる攻撃を受けている。
 とくに賃金・労働条件をめぐる攻撃は、新自由主義のもとで、前述したJR職場を先端にして4大産別にこそ最も過酷に理不尽に襲いかかっている。さらには、4大産別にこそ大失業の嵐が吹き荒れている。自治体においては、道州制導入のもとで公務員360万人の首切りのさきがけである社保庁1000人首切り、全逓ではJPEX子会社化という正規・非正規にまたがる解雇攻撃、教労ではすさまじい非正規職化の進行と教員免許更新制の首切り攻撃が現に激しく進行しているのである。
 これらの攻撃とどう闘うか。
 大失業の嵐に立ち向かう1047名解雇撤回闘争を先頭にして、4大産別の総決起をかちとることである。そして、恐慌・大失業のもとで職場生産点にうずまく賃金や労働条件をめぐる激しい怒りや要求と結びつき、職場生産点から路線をつくり、うち立て、「団結の拡大を総括軸」に闘いぬくことである。  一人の首切りも許さない非和解的闘いを職場生産点で貫き、「団結の拡大を総括軸」にして、プロレタリア革命の立場から、〈戦争・改憲、民営化・労組破壊〉攻撃と闘うことである。まさに、時代認識と路線で勝負し、マルクス主義の立場から資本と非和解的に闘うのだ。
 ▼三里塚闘争破壊攻撃との全面対決
 4大産別決戦を革命戦略として闘う路線は、直ちに三里塚闘争の決戦化への大号令となり、労農学の熱い決起となっている。三里塚闘争の変質・解体を迫る攻撃は、今や、敷地内にたいしてあらゆる形でその攻撃を強めている。それは、日帝・空港会社に屈服した塩川一派を先兵として三里塚闘争の条件闘争化を迫り、労働者階級との団結を破壊し、反対同盟を分断・孤立化させ、敗北主義を強制する攻撃である。
 同時に、この攻撃は労農連帯を破壊する攻撃である。労農連帯こそ43年にわたる三里塚闘争勝利の要である。動労千葉は、この攻撃を日本帝国主義の三里塚闘争・国鉄闘争破壊としてとらえ、国鉄労働運動の命運をかけて帝国主義の三里塚破壊攻撃に立ち向かっている。革共同の現地闘争本部は、この攻撃を塩川一派を使った同盟破壊攻撃としてしっかり見すえ、一大反撃を開始している。
 関西新空港絶対反対泉州住民の会はこのかん、軍事空港反対の関空闘争にいっそう大衆的に決起すると同時に三里塚闘争への取り組みを強化している。

2 学生運動が労学共闘として階級闘争の先頭に

 06年3月に未曽有の大弾圧を受け、それとの不屈の闘いのなかで、「弾圧ありがとう」と言い切ったとき、学生運動が3万法大生―全国300万学生を獲得することができる基礎が築かれた。それは、歴史に残る全学連の58―59年転換に等しい大転換であった。
 58―59年転換とは東大・早大を先頭に全国の大学細胞で日共スターリン主義と闘い、他方でトロツキー教条主義者と闘い、日共全学連の権力を打倒し、革命的左翼が全学連の権力を掌握した転換であった。60年安保闘争はこれによって主体的に準備された。
 06年3月弾圧を粉砕したことで、学生運動の本質的大転換がおこなわれたのだ。国家権力は、早大・明大の学生運動をぶっつぶし、一切の照準を法大学生運動解体にかけてきた。しかし、新自由主義と真っ向から闘う学生運動は、逮捕を養分にし、全員完黙・非転向で闘うことを徹底し、団結を求め団結の拡大をもって反撃してきた。青年労働者と連帯しマルクス主義で武装した学生運動が層として登場したのだ。
 日帝国家権力は、この日本学生運動の不退転の登場に驚愕し、法大学生運動にたいし法大当局と文字どおり全一体となって弾圧につぐ弾圧をかけてきた。学生たちは、3年間で3けたの数の逮捕者と、逮捕者の4分の1が起訴されるという大弾圧を跳ね返して反撃している。
 「監獄大学粉砕!」「新自由主義大学粉砕!」「学生の未来を奪うな!」の闘いは、獄中の8同志と連帯し、日々激しく前進している。この偉大な学生運動の前進と勝利をしっかり確認したい。

3 路線を明確にして全戦線で塩川一派を圧倒

 07年7月テーゼの次の言葉をしっかり確認したい。
 「資本主義社会とは、労働者階級に対する賃金奴隷制の上に成り立つ社会である。……労働者階級は、人間として生きるためにはこの賃労働と資本の関係を革命によって根底から覆し、現在の社会を部分的にではなく全面的に転覆する以外に、どんな意味でも自らの解放をかちとることはできない」(『共産主義者』154号159ページ)
 この階級的立場こそすべての戦線における闘いの立場であり、実際この立場から、このかん各戦線において塩川一派を圧倒する大きな前進が次つぎとかちとられている。
▼星野同志奪還運動の本格的発展の出発点を構築
 われわれは、星野同志奪還闘争の偉大な入り口に立ったことを確認できる。仮釈放路線と徹底的に闘い、決別・打倒した。そして戦後の労働者階級の闘いである松川裁判を、過去の歴史でなく現在の闘いの指針を導き出すものとして対象化し、星野同志奪還の戦闘態勢を構築した。
 すなわち、帝国主義の再審棄却に怒りを燃やし、労働者階級が闘って闘って闘いぬいて奪還することを誓い合った。星野同志奪還は、革命的共産主義運動がみずからの手で、労働者人民の力で、どうしてもなしとげなければならない切迫した課題である。
▼部落解放闘争の路線的再確立
 部落解放闘争は、労働者階級の社会主義革命の一環をなす闘いであり、帝国主義が労働者階級を階級的に分断し、労働者の一部を部落民として身分的差別を強制する攻撃との闘いである。部落民労働者は、賃金労働者でもある自己を解放するために、労働者階級全体の解放の立場から闘う。部落民主義による個別の闘いによっては、部落民の解放はなく、またそれはマルクス主義ではない。帝国主義の労働者階級にたいする、階級支配の常套手段である「分断し統治せよ」の階級的団結破壊を断じて認めず、諸階級・諸階層の人民を労働者階級の一個の階級的団結のなかに包摂することである。
 全国連本部派は、「広島差別事件」の根因がかの「仁村論文」にあったとして、かつての「2回大会テーゼ」(93年)に回帰しようとしている。しかし、「2回大会テーゼ」こそ、革共同の91年5月テーゼに対抗的に出されたものであり、「労働者は差別者論」規定が核心にある。それは部落民主義を満展開した内容である。明白に動労千葉労働運動への敵対であり、反マルクス主義へと全国連を変質させるものであった。
 今日とりわけ、狭山闘争と西郡住宅闘争を全面的に前進させなければならない。狭山闘争は第3次再審請求から3年を経過しているが、石川一雄さんは無実の多くの証拠を提出して不屈に闘っている。
 西郡支部は、応能応益家賃絶対反対を貫き、民営化攻撃と闘う八尾北医療センター労組と一体となって戦闘的に闘っている。この闘いは09年決戦の柱として急速に煮詰まっている。
 部落解放戦線こそ、狭山闘争と西郡闘争の勝利に向かって11月1万人決起へすべての力を出しきって総決起する時だ。
▼入管闘争―血債主義・糾弾主義からの決別
 党の革命は、入管闘争に最も鋭く問題を提起するものであった。その核心は、血債主義・糾弾主義からの決別である。一切は、階級的労働運動の実践主体としてみずからを転換的に再確立すること、労働者階級の階級的団結を総括軸にして闘いを前進させることであった。この闘いは必然的に階級的労働運動、動労千葉労働運動との結合・連帯を求めた。塩川一派と決別し打倒して以来の前進はそのことを示している。全国実(外登法・入管法と民族差別を撃つ全国研究集会実行委員会)は、在日・滞日の戦闘的労働者の圧倒的結集軸になっている。民族・国境・国籍を越えた闘いが圧倒的に前進を開始した。
▼裁判員制度廃止運動が切り開いた地平
裁判員制度廃止大運動の根底にある大きな特徴は、中曽根の「国鉄改革」に正面から立ち向かった動労千葉の闘いを深く学んでいることである。それは、「司法改革」攻撃を改憲攻撃の柱の一つとして対象化したことであった。  改憲とは文字どおり、大失業と戦争の大恐慌下、国内階級戦争によって労働者階級の決起を鎮圧し、外に向かっては帝国主義強盗戦争に出るほか一日として生き延びられない日帝ブルジョアジーの、プロレタリア革命にたいする予防反革命であり、クーデターである。
 国家と労働者人民の関係、統治の形態(「この国のかたち」)の戦後的あり方を根底から転覆することである。まさに、この点で「現代の赤紙」だ。  裁判員制度は道州制と完全に連結する。ブルジョアジー自身が、前者を「一連の諸改革の最後の要」、後者を「究極の構造改革」と叫んでいる。
 この裁判員制度反対大運動で暴き出されたのが日本共産党のじつに反動的な姿だった。彼らは「市民参加」なる呪文に引き込まれ、人民分断と権力動員攻撃に屈し、「良い裁判員」になることだと裁判員制度推進の反階級的立場をはっきりさせた。いまや彼らは、「ルールある資本主義」をよりどころに日弁連の権力翼賛化の先兵と化している。日弁連を改憲阻止の砦に固めることは急務なのである。
▼百万人署名運動が底力を発揮する時
 百万人署名運動は、大恐慌、戦争・大失業攻撃のもと、ついに底力を発揮する時がきた。百万人署名運動の歴史的総括をしっかりおこない、改憲阻止闘争の力は労働者階級と労働運動の力であること、改憲阻止闘争は絶対阻止論そのものの闘いであること、署名活動は団結の拡大であること、「攻めの改憲阻止闘争」論を確立して闘うこと、百万人署名運動の前進自身が11月1万人決起の力であり、塩川一派を打倒・解体する決戦であることを鮮明にさせて闘おう。
▼婦民全国協論の確立をもって階級的団結固める
 階級的労働運動の前進は、必ず地域総体をプロレタリア革命に獲得することを求める。プロレタリア家族、地域住民、商店・零細企業労働者、これらの圧倒的労働者住民を獲得するのは婦民全国協の任務である。プロレタリア革命の一翼を担うこと、そのためにも階級的団結を総括軸として闘うこと、この闘いが現場の闘う同志の心からの叫びとなり、階級的団結をかちとる闘いが開始された。
 このように婦民全国協の階級的役割が明確になることによって、ここからも11月1万人決起の重要な出発点が形成されたのである。
▼障害者解放闘争論の確立
 障害者解放闘争論の路線的確立に挑戦し、マルクス主義で障害者解放闘争を論じていく闘いが開始された。すなわちプロレタリア革命の旗を掲げて闘う障害者解放論の路線的確立である。
▼被爆者解放闘争論と09年ヒロシマ・ナガサキ
 被爆者・被爆2世・3世の怒りの決起が開始された。オバマ反革命宣言と対決して闘いぬく偉大な決起が開始された。被青同が反戦反核闘争の階級的指導部として、日本帝国主義の核武装化、北朝鮮侵略戦争突入と闘う新たな被団協に向かって決起宣言を発した階級的意義をしっかり確認したい。
▼反軍闘争が示す最先端的闘い
 反軍戦線は、党の路線の最先端で闘いを開始した。階級的労働運動の前進、その実体的基礎としての地区党建設の前進のなかにこそ反軍闘争の前進があることを、ロシア革命の勝利の経験をとおして豊富に論じる段階に入っていることが、そのことをはっきりと示している。

4 国際連帯闘争の前進とマルクス主義にもとづく世界単一の労働者党建設の開始

 動労千葉の訪米報告(『世界に翔び立とう10 サンフランシスコ国際労働者会議 動労千葉の訪米報告』)は、国際連帯闘争の画期的前進を示すものとなっている。「大恐慌情勢と闘う国際連帯闘争の画期的地平」「世界に通用する動労千葉労働運動」「社会主義をめざす労働運動の新たな国際的胎動」「11月集会が世界を動かす」「次は11月、日本で会おう」などのタイトル・サブタイトルなどには、03年から開始された国際連帯闘争の今日的発展の地平がこのうえなく明確に表現されている。
 他方で、われわれが厳しくつかんだことは、世界の階級闘争のなかでトロツキー教条主義派が少なからぬ影響力をもっていることである。残存スターリン主義の中国や北朝鮮の現実を見るまでもなく、スターリン主義の存在が世界の労働者階級の決起に重大な敵対物として存在していることは周知のとおりである。
 しかし既存のトロツキスト派は、これと対決しえずスターリン主義を事実上擁護する存在であったり、スターリン主義を「批判」しても労働者階級を組織しえない宣伝グループのような存在であったりしている。また、一定の勢力を形成しながらこのかん体制内派に急速に転落しつつあるグループもある。他方、そのようななかから新たな勢力が登場してきているところもある。これらの現実としっかり具体的に向き合い、日本の労働運動の階級的前進を背景にその克服と止揚に向けて闘っていくことである。この革命的突破は、日本の階級闘争の現実的発展、ランク&ファイル運動の勝利にあることをはっきりさせたい。
 この課題は、世界大恐慌の深まりのなかで世界の階級闘争がプロレタリア革命への新たな動きを開始して現在、待ったなしの新たな課題である。
 ▼韓国の双龍労働者の闘いは、現代における、34年サンフランシスコ・ゼネスト、37年フリントGM工場占拠闘争を超える歴史的闘いである。それは、「世界を震撼させた77日間の階級戦争」であり、「階級的団結を最後まで堅持し新自由主義を突き破る闘い」であり、大恐慌時代において普遍性をもつ、勝利性に満ちた闘いであった。ここでわれわれには、パリ・コミューンの世界史的意義を圧倒的にポジティブに総括したマルクスの革命的立場が求められている。
 全世界的党派闘争へ、綱領論争の勝利へ突き進もう。

V 階級的労働運動の実践でつかみとった路線的整理

1 マル青労同1000人建設で組織的に突破すべき課題

 08年11月労働者集会以降、マル青労同を先頭に職場生産点で資本との非和解的対決の実践を開始したことは決定的であった。7―8月闘争の核心は、この地平をふまえ、体制内労働運動を転覆する真の力量の形成と、それを貫徹する組織的基盤の形成を、マル青労同・地区党・産別委員会において必死で挑戦していることである。
 この苦闘のうえに立って、このかんの「労働運動の力で革命を」「団結の究極の拡大が革命だ」「生きさせろ!ゼネスト」論は、「革命党(革共同)を建設し革命をやろう」へと発展している。
 すなわち、〈階級的団結論〉を軸とする〈絶対反対論〉で職場闘争を実践すれば、それは即、体制内派とのがちんこ勝負となる。この体制内派を打倒し勝利する〈組織建設論(組織拡大論)〉が決定的に求められているのだ。  現在、青年労働者のなかから、革共同結集、地区党結集の大運動が始まっている。〈団結の拡大を総括軸〉にする闘いが、この党(地区党)への結集運動を生みだしている。なぜなら、団結の最高形態が党であり地区党であるからだ。
 地区党建設とは、労働者出身同志が党(地区党)の指導者への成長をみずからの飛躍をかけてかちとる闘いである。地区党は、各産別の代表者の狭い集まりではない。文字どおり、プロレタリア独裁を準備する党の観点から、国家権力にたいし不屈・非妥協に闘い、地域・地区ソビエトの中心軸となる闘いである。したがって地区党自身に産別を超えた最高の政治的意識が求められ、最高の団結が求められる組織として闘いとることなのである。
 他方で、この地区党建設のもとで11月労働者集会1万人決起をかちとる闘いがある。大恐慌、大失業と戦争への本格的突入は、労働運動と労働組合をめぐる攻防として激しく火を噴いている。それは、だれもが経験したことのない前人未到の領域であるが、階級的労働運動路線の圧倒的優位性・有効性を示すものとなっている。それは、労働者党建設の新しい段階へと突入することを意味している。
 しかも、だれもが、これからが本格的大決戦になることを自覚している。ここで何が問われているのか。それは2000万青年労働者―6000万労働者全体をプロレタリア革命に獲得する階級的立場だ。これは、絶対反対派として登場し、労働者階級の多数を階級的に獲得する闘いである。まさに革共同50年の歴史の継承性と飛躍性が問われる闘いである。大恐慌下で、激しい闘いに吶喊し、現状を突破していこう。
 動労千葉の闘いとその勝利を基礎にして国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦を革命戦略にまで高めたことは、われわれにとって次のことを意味する。すなわち、資本とあくまでも非和解的に闘い、体制内派と激突し、国鉄を先頭に4大産別のなかに第2・第3の動労千葉派の大拠点を建設していくということである。4大産別決戦の核心は、体制内派と闘い、全労働者階級を獲得していくことである。
 それは資本との死闘を、職場闘争・ストライキ闘争などをもって闘いぬきながら労働者階級の中に支持を拡大し、青年労働者を獲得し、マル青労同を建設する闘いである。失敗を恐れず大胆に労働組合運動に突入し、11月1万人決起を実現する闘いである。具体的には、2000万―6000万を獲得するためには、職場の細胞建設に勝利しなければならない。〈中央委員会と細胞〉―この細胞建設をしっかりなしとげることである。
 マル青労同は、「労働運動の実践とマルクス主義の学習」を立脚点とすることによって発展した。この階級的立場は、2000万「ロストジェネレーション」世代を丸ごと獲得する立場である。階級的労働運動路線の実践は、労働組合運動に全面的に突入し、現場労働者と一緒に闘い、「隣の仲間」=2000万を獲得する闘いである。
 路線的に闘うとは、どういうことか。
 それは、6000万労働者階級の内部に階級的団結を拡大し、勝利する内容を提示することだ。その核心はマルクス主義である。
 11月1万人決起は、4大産別の階級的力関係を変える。われわれが1万人を集め、階級的力関係の大変動を敵に強制する闘いである。
 現状を突破する道は何か。マルクス主義で〈細胞と地区党〉を武装(=再武装)することである。マルクス主義の普遍性を論じることである。動労千葉の闘いの経験と一体化することである。「団結の拡大を総括軸」にしながら、闘いを発展させることである。すなわち、マルクス主義の原点に回帰することである。この点をしっかり提起したい。

2 塩川一派の革共同からの脱落・逃亡・敵対とその破産

 塩川一派は、07年秋、革命的共産主義運動から脱落・逃亡して以来、反マルクス主義集団から小ブル反革命集団へと決定的に変質を深めている。
 労働者階級の戦闘的決起を憎悪し、動労千葉労働運動への階級的憎悪をむき出しにし、三里塚闘争への敵対、分裂・破壊策動を関実(三里塚決戦勝利関西実行委員会)などを手段にして繰り広げている。革共同の解体、動労千葉破壊を自己目的にすると繰り返しうそぶいている。革共同は、こうした存在を許さず完全に打倒し解体することを重ねて宣言する。
 塩川一派は、機関紙『未来』38号(8・4付)で、「革共同再建協議会は何をめざすか」というタイトルのもと、「9・6革共同政治集会」を呼びかけた。まったく低水準な代物だが、徹底的に粉砕するために取りあげる。
 第一に、「総選挙情勢に見られる日帝の政治危機を革命的共産主義者としてどのようにとらえ、いかにたたかうのか」「この危機はアメ帝のグローバリゼーションの矛盾の爆発のなかで進行、小泉政権への怒りで自民が大敗した07年参院選に端を発しています。そこで生み出された〈流れ〉は、民主党政権によっては吸収できない。加速する」――このような〈流れ論〉を得々と披瀝している。この流れにたいし「革命的共産主義者の任務は、いま私たちの眼前で進行している戦後史を画す階級情勢の流動化に対して、そのあるがままの現実に肉薄することをとおして、それが何を生み出しどこに向かおうとしているのかをつかみとることです」などと言っている。
 なんたることか。ここで彼らが言いたいのは、この〈流れ〉には、けっして急速に革命に向かうものなど含まれていないという意味だ。その証拠に彼らは、現在の情勢をけっして「あとのない世界大恐慌」と規定しない。だからプロレタリア革命に向けた労働者階級の闘いもけっして提起しない。
 大恐慌に突入した資本主義の現実そのもの、労働者階級人民の怒りの決起、階級的激突情勢への突入――これらを否定し敵対するために語られているものこそこの〈流れ〉論にほかならない。支配階級も労働者階級人民も、このままでは生きられない。まさに革命が問われている。この情勢を革命情勢の到来として規定することこそレーニン主義の立場なのだ。
 しかし塩川一派は、これを真っ向から否定する。その代わりに、「実践上の指針となるのは次のマルクスの言葉」だと言って、「人間はいつでも自分に解決できる課題だけを自分に提起する」という『経済学批判』(序言)の一部を一知半解に持ち出す。笑止のきわみである。要するに“革命はまだプロレタリアートの課題にはなりえていない”といいたいのだ。レーニン主義を否定したいがための、ためにする議論だ。
 まさに革命が現実的に問われていること、まさしく情勢そのもののなかに革命が含まれているのだということ、このことを理論的・実践的に明確にすることが革命的共産主義者たるものの絶対的任務だということを否定し、このことから何がなんでも逃げ回ろうと決断し、腹を決めているのだ。度しがたい腐敗であり、驚くべき転向である。
 実践的には、彼らの機関紙が証明しているように、民主党政権に期待し、民主党的〈流れ〉を全力で応援するものにほかならない。要するに“自分に解決できないことは提起しないことが一番だ”という話をしているのだ。プロレタリア暴力革命への敵対、マルクス主義への憎悪であり、レーニン主義の解体そのものである。
 第二に、今必要なことは「安田派との対決」、それが歴史的使命だとわめいている。「安田派の綱領は、『党=労働組合=動労千葉』というきわめて偏狭な組合主義の綱領。実践的には革命運動からの全面的な召還に帰結する」などとわめいている。「こうした自己の転向・召還を合理化するために、『労働運動で革命を』とか『世界は革命情勢』という荒唐無稽なスローガンを乱発している」「私たちは、大衆闘争のあらゆる場面で安田派の敵対・妨害と闘い、これを粉砕します」と言うのだ。
 さらに、革共同および動労千葉が体現する階級的労働運動へのむき出しの敵対の一環として、「何よりも深刻な問題は、ソ連崩壊後のマルクス主義崩壊的状況である」と強調し、「革共同はいまだにスターリン主義をのりこえられない」などとのたまっている。革共同から脱落した者の常套句である。この主張は、レーニンこそがスターリン主義の始まりだという主張にまで必ず行き着く。
 塩川一派は、労働者階級の政治権力(プロレタリア独裁)と労働者階級の経済運営(これもプロ独)を機械的に切り離している。これはスターリン主義への革命的批判ではない。スターリン主義をのりこえる力は、労働者階級自身のなかにあることを絶対に認めないのである。労働者階級への不信と恐怖を根底においた小ブル的立場で、スターリン主義を革命的に批判することなど不可能なのだ。
 彼らはまた、かのスターリン主義の農業強制集団化をアナロジーして“革共同は、農民の土地などもすべて取り上げようとしている”という形で批判しようとしている。革共同が農民の土地などもたちまち取り上げ、上から強制集団化する理論と思想の持ち主であるかのようなデマゴギーをふりまく。これは、三里塚闘争を完全に念頭においた悪辣な反革命扇動としてなされている。薄汚い魂胆がミエミエだ。闘う農民と労働者階級の革命的連帯、労農同盟論を反革命的に破壊しようとするものだ。塩川一派の反革命策動の重心がまさにここにある。
 第三に、憲法改悪攻撃との対決と称して、「これに抗する力を日本の民衆は獲得することができるでしょうか」などと自問し、「答えは、政治危機の基底に存在する〈流れ〉を構成している個々の要素を分析し、その相互の結びつきを解明することによって得られると考えます」と述べている。
 それは実践的には連合路線への屈服である。彼らによる、北朝鮮排外主義運動の連合1000万署名への取り組み(!)がその証左である。総選挙における民主党応援と連合への屈服は表裏一体のことである。
 そして塩川一派の目的はただ一つ、革共同と動労千葉、動労千葉派への敵対に絞り上げられていく。それは、国家権力に屈服し、二度と闘わないこと、それどころか権力の役に立つことを証明するためにますますそうなっていく。その意味で、とりわけ今、その焦点になっているのが三里塚闘争破壊、労農連帯破壊である。さらには、動労千葉を先頭にした国鉄1047名闘争と4大産別決戦・道州制攻撃決戦に敵対し、11月労働者集会を破壊する策動にも手を染めている。
 また革共同の非合法・非公然体制を憎悪し、労働者人民の完黙・非転向の闘いに唾を吐きかけるところにも、彼らの反動的正体がこのうえなく鮮明にあらわれている。

W 大恐慌への本格的突入と争闘戦・世界戦争情勢の激化

1 危機爆発の第一段階から本格的大恐慌への突入

(1)07年8月のパリバ・ショックをもって開始され、08年9月のリーマン破綻によって本格的に爆発過程に突入した世界金融大恐慌は、戦後帝国主義体制を激動のなかにたたき込みつつ、さらに深化し発展しつつある。
 今日、いわゆる底入れ論、底うち論が声高に叫ばれ、もはや最悪期は脱したという解説がさかんにおこなわれている。しかし、今日の世界金融大恐慌は帝国主義の戦後発展、とりわけその絶望的延命形態としてあった新自由主義の決定的行きづまりとして爆発したのだ。
 歴史的な過剰資本・過剰生産力をかかえた帝国主義経済(世界経済体制)が、いったん全面的な大恐慌過程に突入したという重大事態は、もはや帝国主義の財政政策でなんとかなるというレベルを超えている。
 このことを決定的につきつけているのは、金融機関についていえば、巨大な不良資産の存在であり、銀行資本そのものがそもそも過剰という現実である。

 いまひとつには、これこそ決定的なことであるが、膨大な過剰資本・過剰生産力の整理とそれに対応した過剰雇用の整理、つまり大失業の現出である。大恐慌は大失業と戦争を生みださざるをえないものとしてある。ある意味では大恐慌とは、大失業という形で労働者階級に決定的犠牲を強制するところに資本家的・経済的意義があると言える。この大失業は住宅恐慌の爆発と一体化して、労働者階級から住居を奪い、消費生活を破壊し、個人消費を決定的に低下させるものとしてある。

(2)今日の巨大金融機関は、政府当局からのあらゆる金融的・財政的支援を受けて、ようやく動いている。直接に政府当局のもとで管理され、半ば国有化されている巨大金融機関もある。
 第一に、会計基準のお手盛り的変更によって、金融機関の資産のうち「レベル3」という資産が、いまでもじつに膨大に銀行には存在しつづけているということだ。「レベル3」というのは、複数の証券化商品を束ねた債務担保証券(CDO)や不動産ローン担保証券、非上場企業への投資、複雑な仕組み債などである。これらは流通性に乏しく(売れないこと)、価格のつけようがなく、銀行自身が理論価値をつけることが認められているという始末だ。ここにすさまじい破綻性がある。
 第二に、金融機関の重要なことは、貸倒引当金の急拡大ということである。要するに、欧米の金融機関はほとんど政府・財政当局による金融・財政政策によって一般的に支えられているうえに、政府財政資金の大量投入からくる余剰資金の流れがつくりだす株式・債券・商品などの一定の浮揚力による取引市場の活発化に棹さして取引益や手数料を稼いで利益をあげている。しかし、銀行本来の融資部門では、巨大な貸倒引当金を積まなければならない状況にある。これと「レベル3」的不良債権の蓄積の重圧のもとにあるということだ。つまり、根底的には、大恐慌下でボロボロの現実にあえぎ、かなりの金融機関は「第2・第3のリーマン」の危機を完全にかかえている状態にある。  したがって、実体経済面での経済の危機が激化すれば、大打撃を受け、グラグラになる状態にある。「最悪の時期を脱した」などと到底言える状況にはない。

(3)大恐慌の展開、その深化と発展を、財政投入のカンフルでなんとかすることなど基本的にできないこと、これを突きだすいまひとつの事態は、大恐慌の引き起こす大失業という情勢である。これは基本的には、過剰資本・過剰生産力の整理という問題とメダルの裏表の関係にある。
 大恐慌への突入とともに需要が急減し、生産力の過剰が劇的につきだされ、資本は生産を縮小し、労働者を大量に解雇して(リストラして)対応し、いわゆる在庫減らしに走る。
 先に発表された09年『経済財政白書』においても、今日の日本ではさらに670万人分の労働者雇用が「過剰」であると言っている。
 こうした流れのなかで、世界の失業者はこのかん急増を続けている。09年6月時点で日米欧の失業者は合計でじつに3300万人に達している。これは09年3月時点より1200万人も増えている。3300万人の内訳は、日本=350万人、米国=1470万人、ユーロ圏=1490万人である。
 米帝について言えば、7月の雇用統計が発表され、7月の失業率は9・4%で、6月の9・5%より0・1ポイント下がった。また、非農業雇用者数も24万7000人の減少で、6月の44万3000人の減少より改善されたとして、「底入れ」論のメルクマールにされている。しかし、8月の失業率は9・7%と、再び上昇した。
 さらに重要なことは、失業率6月=9・5%、7月=9・4%、8月=9・7%という数字は、巨大な財政的カンフル政策のもとでも、大失業情勢はほとんど改善されないことを示している。しかも、こうしたカンフルの効果というのも一定の限界があり、むしろ2010年にかけて米失業率は10%台に向かう可能性があると公式にも報告されている。
 大恐慌と大失業という問題は、じつは住宅恐慌の進行と重なって、米帝経済においてGDPの7割をしめる個人消費の低迷という大問題と一体のものである。住宅バブルは、住宅価格の上昇を十台に、カード社会的に消費を増大させてきた。バブル崩壊で、その過程が逆回転する。今度は一転して、家計上の債務過剰状態がのしかかってきている。この家計的債務過剰の地獄にあえいでいるところに、上記の大失業の嵐が吹き荒れているのである。この結果が、個人消費の決定的低迷(冷えこみ)をつくりだしている。
 また、大失業と住宅恐慌の進行の重なりあいのなかで、家計が過剰債務と所得減少で苦しんでいるため、米帝オバマ政権が住宅差し押さえ防止のための住宅ローン支援の財政カンフルを一定うっているにもかかわらず、それが十分な効果をあげることができないのである。オバマは「50万件の改善が可能」と言いながら、20万件の改善にも達していない。

(4)以上、大恐慌が爆発過程に突入したことのもつ巨大さ、過剰資本・過剰生産力問題がついに前面化してきたことの大きさ、財政的カンフルなどという形でクリアできるものではないということを、@金融機関の財務実態の暴露、A大失業情勢の大きさ、B大失業と住宅恐慌の重なりあいのなかでの家計の債務過剰問題の大きさと個人消費の決定的低迷、という点を軸に明らかにしてきた。こうした視点に立つとき、次の諸点の決定的意義が明らかになる。  @世界一斉にウルトラな放漫財政の展開となっているが、米帝をはじめ、09年クラスの財政赤字をさらに出しつづけることができるのかというと、これはできない。切羽つまって無茶苦茶な財政投入に走れば、最後は超インフレに行きつく。逆に、「出口戦略」などといって財政的にしばりをかければ、大恐慌情勢は一挙に第2段階に突入する。
 A今日の日米欧の景気の一定の「リバウンド」は、中国の巨大財政支出のつくりだした状況への乗っかりに多分に依拠している。しかし、中国の今日的GDP成長は長く続かない。一方では、膨大な財政資金は、中国経済の特質(資本主義的諸制度が成立しきっていないこと)から投機資金に流れ、大都市(70都市)の不動産価格の騰貴をつくりだしている。バブルである。他方では、中国の場合も民需の拡人に火がついていないし、外需(外国貿易)も落ちこんでいる状況である。しかし、中国政府に追加的で大規模な財政投入をする準備はないと言っていい。つまり、中国頼みは必ず近いうちに崩壊する。
 B欧州情勢は米帝以上に悪化している。金融機関は米国以上に危機的である。ドイツ銀行なども、じつは会計基準の変更を利用し膨大な不良資産をほとんど残したままなのである。中・東欧金融危機の波及ということもふくめて、欧州の金融機関の行きづまりはきわめて激しい。大失業はさらに進む。
 欧州の場合、労働組合との力関係もあり、時短を強化して失業者を見かけ上減らす方法をとってきている。しかし、これは国際争闘戦の激化のなかで不可能化しつつある。つまり、すでに10%レベルに達している欧州の失業情勢は、さらに著しく悪化して行かざるをえない。また、国債発行の乱発が進み、EU的統合の危機が激化する。パリバ・ショックにつぐ大恐慌の第2次爆発の契機が欧州から発せられる可能性は小さくない。大失業情勢の階級的激突の炎も欧州からあがる可能性が大きい。
 C日本情勢がそれ自身決定的であるということだ。「最弱の環」である日帝の体制的危機が爆発点に向かっている。以下メルクマールをあげると――  ▽すでに著しい財政破綻国家なのに、さらに財政は危機的状況に突入していく。
 ▽8月衆院選を契機に日帝は未曽有の政治危機に突入している。
 ▽財政危機―首切り・賃下げ・大増税問題はきわめて近い将来爆発的となっていく。
 ▽道州制攻撃と安保・防衛問題および改憲問題が政治の前面に出てくるなか、日本階級闘争が必ず日本と世界を根底から揺さぶるものとなる。
 日帝はとにかく経済大国なのであるから、右のような事態が大恐慌情勢のもう一段の爆発の決定的引き金となりうる。

(5)大恐慌は大失業と戦争を生みだす。これが決定的なことがらとなる。
 @大恐慌激化のなかで、各帝国主義・大国はすさまじい保護主義に走っている。これはどんどん進む。
 A帝国主義間争闘戦の激化、帝国主義(大国)間対立が激化している。市場争奪戦、資源争奪戦が一挙にエスカレートしている。
 B各国とも大失業情勢下に労働者階級との決戦情勢に突入しつつある。世界中のプロレタリアートが連鎖反応を起こして、国際連帯的な闘いに進む。文字どおり階級闘争の内乱的激化の時代への突入だ。
 C以上の織りなす必然的流れとして、帝国主義戦争への動きがどんどん進んでいる。この〈大恐慌が大失業と戦争を生みだす〉情勢をしっかりつかまないと、帝国主義的勢力、ファシスト的反動勢力の反革命の前に敗北する。徹底的に闘い抜き、絶対に勝利しよう。

(6)今日の大恐慌情勢、そのもとでの大失業と戦争の情勢のなかで、革命的情勢は一挙に成熟していく。「大恐慌を世界革命に転化せよ」という革命的労働者党の登場が決定的である。そして、その成否は労働組合をめぐる階級決戦で階級的労働運動派が勝利するか否かにかかっている。

2 戦後帝国主義世界体制の破綻と世界戦争政策

 1917年ロシア革命の勝利は、帝国主義から社会主義への世界史的過渡期を切り開く偉大な突破口となった。しかし、23年のドイツ革命の敗北をはじめとしたヨーロッパ革命の敗退によって帝国主義は延命し、20年代半ばから一時的な相対的安定期を形成することとなった。この帝国主義の相対的安定のもとで、ロシア・ボルシェビキ内で一国社会主義路線が登場して党内を制圧し、革命ロシアと国際共産主義運動のスターリン主義的変質が進んでいった。
 29年大恐慌下での全帝国主義の体制的危機の爆発、なによりも20〜30%台もの大失業のもとで、米欧をはじめ世界的に革命的情勢が到来した。
 アメリカでは34年にサンフランシスコの港湾労働者、ミネアポリスのトラック労働者、トレドの自動車労働者によって3大ゼネストが闘われ、ヨーロッパではファシストとの激烈な攻防が闘われた。大恐慌下では労働者は生きるために、必ず革命的に立ち上がるのだ。しかし、アメリカ共産党スターリン主義はルーズベルト大統領を支持し、ヨーロッパでも各国階級闘争は「ソ連防衛」の手段とされて決定的に蹂躙され、米欧のプロレタリア革命は圧殺されてしまった。
 そうした30年代階級闘争の敗北によって、革命的に打倒されなかった帝国主義はまたも第2次大戦に突っ込んでいったのである。
 第2次大戦後、国際プロレタリアートは再び世界的な戦後革命に決起したが、スターリン主義の裏切りと協力によりまたも世界革命は圧殺され、帝国主義とスターリン主義の世界体制に組み敷かれていった。だが、スターリン主義の協力によって世界革命で打倒されることからまぬかれたとはいえ、欧・日帝国主義は体制として体をなさないほど崩壊しており、帝国主義は歴史的な危機を迎えていた。この帝国主義総体の危機を乗り切ったものこそ、圧倒的・絶対的力量を持っていた米帝にほかならなかった。米帝の世界支配を抜きにしてこの危機からの脱出はありえなかったのだ。戦後の帝国主義的延命の最大の支えが米帝であったことから今現在の大恐慌をとらえ返すなら、その米帝が中心部から崩壊し、もはやなんの支えもなくなっていることの末期性が明白となるのである。
 戦後帝国主義世界経済は、米帝を基軸としたアメリカ的統一性のもとで、同時に日欧の高度成長を最大実体とした世界経済の拡大によって、50年代から60年代まで帝国主義としては異例の戦後発展をとげることができた。そうした〈統一と成長〉のもとで、国家が経済に介入する国家独占資本主義政策が定着し、国家の制度・体系を大きく変貌させるものとなった。
 しかし、そうした戦後発展そのものが帝国主義史上では異例のものでしかなかった。帝国主義経済は73年の第1次石油危機をきっかけにして74〜75年世界恐慌に陥り、世界的な過剰資本・過剰生産力状態に陥った。これ以降、世界経済は長期不況に突入した。同時に、米帝は製造業での国際競争力を低下させた結果、貿易赤字に転落し、71年に金ドル交換制の停止(今日的には廃止)を余儀なくされた。ドルは本質的にはこれ以降、基軸通貨ではなくなる。

 また、75年に米帝はベトナム戦争で最後的に敗退し、アメリカ建国以来の歴史的な敗戦をこうむった。米帝は経済面でも世界支配面でも歴史的な没落をたどりはじめたのだ。こうして帝国主義世界経済は、〈統一と成長〉から〈分裂と不況〉の時代に転換していった。このような分裂・不況の過程に入ると、国家独占資本主義政策は財政危機やインフレのような弊害しか引き起こさないものと化した。これが新自由主義への大転換の背景ともなっていく。

3 新自由主義は世界の破滅をもたらした

 帝国主義国では、新自由主義は、1979年登場の英サッチャー、80年代の米レーガン、日本の中曽根の三頭目によって推進された。英の炭鉱民営化・労組破壊、米の航空管制官労組(PATCO)破壊、日本の国鉄分割民営化・労組破壊は、新自由主義攻撃の本格的戦端を開くものだった。
 1984年春、サッチャーの炭鉱民営化にたいして、炭鉱労働組合は全面ストライキで応えた。兵糧攻めで子どもたちが餓死寸前までいった町ぐるみ・家族ぐるみの闘い、炭鉱町での警官隊との肉弾戦は、不屈に一年間続いた。サッチャーは、あらゆる手をつかった炭鉱スト鎮圧を「利潤原理をすべての労働者に承認させることが目的だ」と言いきった。
 レーガンは、それまで体制内派だった航空管制官の労働組合がストライキに決起したとき、全員解雇で応えて労働組合運動破壊を宣言した。
 そして日本では中曽根が、国労つぶし・総評解体―改憲攻撃の「クーデター」として85〜86年に国鉄分割・民営化の戦端を切った。動労千葉を先頭にした団結の力は、国鉄労働運動の内部から民営化に率先協力する反革命カクマルとの死闘に勝ちぬき、民営化絶対反対の旗を堅持し、「解雇撤回」の1047名闘争と「4・4派と闘う5・27裁判闘争」を生みだして、団結を拡大しつつ闘いつづけている。
 新自由主義―〈規制緩和・民営化・労組破壊〉攻撃に、絶対反対で闘いつづけてきた動労千葉は、世界大恐慌に立ち向かう全世界の労働者に勝利の道筋を示し、11月労働者集会派としての結集を呼びかけている。国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦こそが、道州制攻撃と対決し、恐慌と戦争を革命に転化する道筋である。
 社会保障は、階級闘争の内乱的激化とプロレタリア世界革命を予防・抑圧するために、資本家階級が必要としている「社会の安全装置」としてある。しかし、新自由主義と世界大恐慌は、この社会保障制度の解体を決定的にもたらし、この点でも「資本主義は労働者を生かすことができない」という本質的な矛盾を露呈させている。社会保障制度は世界中で、体制の破綻点、解決不可能な支配の危機点となった。
 労働者人民の「生存権」とは、プロレタリア革命の必然性の問題である。360万自治体労働者の解雇・労組破壊を軸とする国まるごと民営化は文字どおり社会保障の全面解体を意味する。道州制攻撃をプロレタリア革命に転化しよう。

4 大恐慌下の中東・西アジア情勢とオバマ=米帝世界支配の崩壊的危機

 米帝オバマの外交政策は、世界大恐慌情勢のもと、米帝の経済・政治・軍事にわたる世界支配の崩壊的危機が激化するなかで、ブッシュ時代からの転換どころか、ますます凶暴化し、矛盾を爆発させている。
 イラクのマリキ政権はこうしたなかで、財政危機を理由に、戦争で破壊され荒廃した石油産業の民営化、つまり外国資本への引き渡しを画策し、BP(ブリティッシュ石油)やシェル、中国国営石油公団などが候補として名乗りをあげている。しかし、これにたいし国内の反対は、支配階級の一部を含めて強い。このかん職場を基礎に米占領軍と闘ってきた石油労働者の労働組合は、民営化をストライキで阻止すると宣言している。
 一方、戦争によって、アフガニスタンの主要な産業である農業は完全に破壊され、貧富の格差が拡大している。ゲリラ攻撃のただなかでおこなわれた今回の総選挙の結果は、米帝のかいらい・カルザイ政権への労働者人民の怒りの大きさをあらためてつきつけ、政治的崩壊状況が拡大している。米帝にとって、イラクとアフガニスタンは、完全に「第2・第3のベトナム」となっている。

 オバマの新たな外交政策は、帝国主義間争闘戦を激化させ、中東全域における危機を限りなく拡大していくものである。

5 体制的危機を深める中国スターリン主義

 帝国主義の大恐慌への突入のなかで、中国スターリン主義も体制的危機を深めている。89〜90年の東欧・ソ連のスターリン主義体制の崩壊は、帝国主義体制の74〜75年恐慌以降の危機のりきりをかけた新自由主義政策の展開による経済的・軍事的重圧のもとで起きたものであるが、今日、帝国主義体制の世界大恐慌への突入のなかで残存スターリン主義中国の受けている重圧はよりいっそう厳しいものとなっている。
 まず第一に、このかんの中国の経済的発展は、中国市場を支配しようとする帝国主義に依存する構造のものであり、帝国主義の大恐慌突入のなかで、この構造が大動揺の過程に入り、中国経済の展開は重大なぐらつきの過程に突っ込むことになった。
 中国経済は、1949年の新中国建国以来、根本的無理性と破綻性を抱えている。中国革命は半植民地の転覆であり、世界的にしか社会主義を実現する物質的条件はないにもかかわらず、中国スターリン主義は毛沢東のもとで、一国社会主義論にもとづいた労働者・農民の強収奪を基礎におく「国の工業化」路線をとってきた。それが当然にも行きづまった状況下で、労働者・農民の収奪構造を変えないままにケ小平による帝国主義依存の資本主義化政策をとるにいたったが、いまや中国経済は帝国主義経済体制に取り込まれ、帝国主義体制の動揺と危機をまともに受けて、根底からの動揺を回避できない状態に入ってしまったのだ。
 そのうえで、より重要なのは、こうしたことがスターリン主義のもとでの労働者・農民への収奪のうえに資本主義的搾取・収奪が加わるものとなって、社会の恐るべき、二極分化状態を加速しており、いまや中国社会はスターリン主義官僚および新たな富裕層(資本家層)と労働者・農民および少数民族の階級対立が、沸騰点に向かって激化しつつあるということなのだ。
 今日の中国経済は、一見すると景気刺激政策によって「持ち直し」の過程に入っているように見えるが、社会の二極分化の激化のなかで、実態的にはただただ政府の大幅財政投入や銀行による融資の極端な増額によって支えているだけである。個人消費などは伸びが弱く、財政や金融の投入の限界もあって再びバブルの崩壊は不可避である。そしてまた、帝国主義による外需や外資の導入の低迷のなかで、再び下降局面に落ち込むことは明らかだ。
 第二に、政治的・軍事的重圧が中国スターリン主義を覆いつつあるということである。当面する北朝鮮スターリン主義の体制的崩壊の危機からする「瀬戸際政策」の激しさが、6か国協議の枠内で「解決」を図ろうとする中国スターリン主義の思惑を超えていることは重大だ。米帝は米朝協議を中国のイニシアティブを牽制するために使っているが、米朝2国間での「解決」などは考えておらず、むしろ米帝の狙いは、6か国協議の枠組みを米帝の北朝鮮侵略戦争に中国を引き込んでいく「足かせ」として使おうということだ。
 戦争への世界動向に対応するために、中国スターリン主義は「防御」と称して必死に軍備強化に入っている。しかし、これは日米帝や周辺諸国の軍備増強への激しい動きを加速するだけである。一国社会主義論に立つかぎり、スターリン主義は帝国主義の世界戦争に巻き込まれていく以外にない。
 だが第三に、なによりも中国スターリン主義の体制的危機を促進しているものは、社会の二極分化が加速されるなかでの労働者階級人民の闘いの発展である。
 これは同時に、中国が最末期帝国主義(およびロシア)に包囲された〈残存スターリン主義〉という関係のもと、どこまでもスターリン主義体制としての権力独占にしがみつき、体制護持のための「経済発展」にかけるなかで労働者階級(墓掘り人)を拡大的に生みだし、しかも一貫して強い搾取・収奪にさらす以外にないというジレンマに陥っているということでもある。
 実際、現中国政府の景気刺激政策のもつ「階級性」=反労働者性ははなはだしい。現在の労働者階級の状態は、金融恐慌の波及を口実にした政府による企業への労働契約法や最低賃金制の適用「緩和」によって、再び旧来の劣悪きわまりない条件に引き戻されるものとなっている。また輸出型の労働力密集の中小企業の倒産に続き、もともと生産過剰状態にある主要産業の企業(多くは国有)が統廃合や整理売却(民営化)の嵐のなかにたたき込まれ、失業者が増える一方だ。さらに、国有企業で早期に退職させられた者、あるいは退職させられた民弁教員(毛沢東時代からの臨時教員)、退役軍人などが膨大な数にのぼっているが、彼らの生活苦ゆえの補償の要求運動にたいしては一切答えず、ひたすら弾圧するだけである。景気刺激には金を投入しても、労働者の要求には対応しないのであり、「和諧社会」(胡錦涛政権の掲げるスローガンで「調和した社会」)などは影が薄くなっている。こうした一環として少数民族への差別も強まっているのだ。
 労働者階級人民の闘いは各所で爆発する状態に入っている。工場の占拠、スト、道路封鎖などの実力による闘いはますます増えている。たしかに、いまだこれらの諸闘争を糾合し総括してさらに高い段階をめざす流れは明確な形を現してはいないが、労働者を統制する機関である工会のストや闘争抑圧の制動力は破綻に瀕しており、スターリン主義の労働者支配の危機が突き出されつつある。中国スターリン主義の危機にかられた「階級」的攻撃は、労働者階級人民の階級性を高め、必ずやスターリン主義体制打倒の展望を開かずにはおかない。
 世界の労働者階級の闘いと中国労働者階級の闘いとの結合をとおしてのみ、〈中国第2革命〉(反帝・反スターリン主義世界革命の一環としてある)の決定的条件は切り開かれる。【中国情勢の分析は、プロレタリア世界革命の実現にとって不可欠である。ここでの展開は、その取り組みへの決意を示すものである。】

6 韓国・双龍労働者の闘いと連帯して

 双龍自動車労働者の工場占拠ストは、8月6日、労資合意によりいったん終結した。しかし、金属労組サンヨン自動車支部の労働者たちは、解雇者を先頭に、闘争継続の意志をうち固めている。
 拘置所内で断食闘争を闘っているハンサンギュン支部長の「すさまじかった77日間の闘争を終えて、相変わらずわれわれ全労働者に与えられた課題は、まさに団結、もう一度団結する道だけだ」と熱烈なアピールを発している。  8月26日、組合傘下の解雇者組織である整理解雇特別委員会が主催して整理解雇者懇談会が開かれた。その場には、スト参加者全員を先頭に、労組指導部の予想を超えて500人が結集し、イスが足りなくなるほどであった。サンヨン自動車闘争はまさにこれからが勝負だ。11月集会1万人に向けたわれわれの組織戦は、解雇撤回と団結を希求するサンヨン労働者の闘いと一つだ。

X 11月1万人決起をいかにかちとるか

1 1万労働者の決起で社会を変える突破口開こう

 11月労働者集会1万人決起は、民主党・連合政権との激突である。体制内派と激突・勝利して1万人決起を実現する闘いである。
 麻生政権において「プライマリーバランス黒字化」は完全に投げ捨てられた。「骨太方針06」は、安倍政権で行きづまり、福田政権で動揺し、麻生政権で完全に棚上げになった。社会保障費削減、消費税率引き上げの両方ができずに頓挫している。帝国主義国家戦略の最重要の柱での挫折である。これこそが4大産別をめぐる階級的激突の現状である。大恐慌下の日帝財政は、さらに深刻である。輸出立国の崩壊での貿易黒字の縮小、実体経済の縮小による法人税の激減、膨大な累積赤字とその拡大、長期金利上昇への懸念、資本救済のための財政支出の限界。
 このようななか、民主党・連合政権がやろうとしていることは何か。鳩山の「日米同盟が基軸」なるオバマとのやりとりは、日米軍事同盟のもとで侵略戦争に突入することを意味する。
 6月に、米帝は北東アジア戦略の見直しをした。米韓首脳会談は、韓国主導で半島統一を明記、北朝鮮全域のミサイル基地に先制攻撃の概念を盛り込んだ「国防基本計画」を発表した。  日帝の『09年防衛白書』は、偵察衛星と敵基地先制攻撃、自衛隊の陸海空統合運用化とソマリア沖派兵、第1混成団の旅団化、武器輸出3原則の緩和、集団的自衛権の全面行使、早期警戒衛星の開発、憲法改正を盛り込んでいる。

 「日米同盟が基軸」という鳩山発言は、日帝が侵略戦争への道をさらに拡大し突入することを念頭に入れた発言である。徹底弾劾あるのみだ。
 内に向かって民主党・連合政権がやろうとしていることは、徹底した大リストラと2〜3割規模の大賃下げである。鳩山政権は、資本が延命するために大失業を労働者階級に徹底的に強制する政権である。また、ブルジョア国家存続のためには大増税である。民主党幻想は直ちに吹き飛ぶ。むきだしの階級対立の時代に突入するのだ。民主党・連合政権との激突は、すでに体制内派との激突として全面的に開始されていることを確認しなければならない。それが道州制攻撃である。
 道州制攻撃による360万人の解雇攻撃絶対粉砕を掲げ、1047名解雇撤回闘争に全面的に決起することだ。解雇攻撃は労働者に死ねという攻撃である。
 大恐慌、大失業と戦争の時代は、解雇攻撃との全面的な決戦である。国鉄労働運動を基軸に、4大産別決戦を革命戦略として闘うことである。このことは、国鉄5・27被告団の08年2・22以来の闘いを見るならば、国鉄労働運動を11月派として、動労千葉派として一挙に影響を拡大できる情勢に突入しているということだ。動労水戸の組織拡大と3波のストライキは、そのことを促進している。とりわけ国労共闘の必死の決起が11月派として開始されている。1047名解雇撤回を、JR資本と4・4派とJR総連を串ざしする闘いとして闘い、国鉄労働運動内部に動労千葉派の巨大な橋頭堡をうち立てよう。これは全産別・全戦線が総決起して闘う課題だ。
 この基礎中の基礎が物販闘争であり、5・27基金運動の展開である。物販闘争は、首切り・解雇撤回の闘いである。労働者の団結を拡大する闘いであり、原地原職奪還の闘いである。全党の力でありとあらゆる労組に分け入り、徹底的にやりきろう。この活動が職場・産別の日常的展開になることによって、党は階級の大地にますます根づくことになるのである。

2 三里塚闘争の勝利なくして11月1万決起なし

 大恐慌へ突入するなかで、ブルジョアジーの狙いは、闘いの拠点を解体することだ。その闘いの拠点は、動労千葉であり、三里塚であり、そして法大なのだ。
 三里塚現地をめぐる日帝公団の、敷地内破壊、農地取り上げ攻撃を徹底的に粉砕する。三里塚闘争の条件闘争化を策動する小ブル反革命集団=塩川一派と闘い、現地闘争の爆発に向かって総決起する。
 三里塚は、大恐慌と自民党崩壊をプロレタリア革命に転化する重要な拠点だ。三里塚闘争の勝利なくして11月1万人決起はない。農業・農民問題は、唯一プロレタリア革命によってのみ解決できることを確信もってはっきりさせ、10・11オルグ戦を闘いぬこう。
 すでに青年労働者は、「三里塚の現実はみずからの職場の現実」として決起を開始している。10・11三里塚現地大集会は、動労千葉派の底力を全面的に開花させる決起となるだろう。

3 全国学生運動は時代の最先端に切り込もう

 全国学生運動は、さらに時代の最先端へ切り込んでいこう。「教育の民営化」への怒りを徹底的に爆発させること――この闘いの基礎にあるのが、このかん全国学生運動が切り開いてきた「絶対に仲間を裏切らない」「団結のみに依拠する」闘いだ。
 また、「全学連運動は、学生がもっている可能性に限界を設けない」というのも重要だ。そうしたときに千・万の決起が実現すると宣言されている。断固、この道を進み、学生の誇りと団結の力で学生運動の大爆発を実現しよう。  学生運動が暴処法攻撃粉砕を掲げ真っ向から闘うこと自身が、階級闘争の最先端の闘いである。この意義をしっかり確認し、全国声明運動を圧倒的に推進しよう。8同志奪還は、全党の直接的課題である。

4 全戦線の総決起で11・1の1万人組織化を

 7月テーゼのもと、全戦線の総決起で11・1の1万人組織化を実現しよう。
 今秋、11・28の星野同志奪還全国集会の成功は、塩川一派を徹底断罪・追放した現在、首都圏を先頭に全国の労働組合の取り組みを軸にした結集にかかっている。ここでも階級的団結論を軸に全面的実践を強化することだ。  さらに、開始された裁判員制度の破綻は明らかである。「民衆が民衆を裁く」裁判こそ侵略戦争の道である。裁判員制度廃止大運動は、改憲阻止闘争そのものである。10・2全国集会を成功させよう。この闘いは、百万人署名運動の全国的確立と一体である。
 部落解放の砦=西郡・八尾北決戦に断固たる決起かちとれ!
 婦民全国協、全国実、反軍、障害者、反戦反核の全戦線から11月1万人結集への猛然たる決起をかちとろう。

5 国際部建設

 全世界の階級闘争の決定的前進は、日本階級闘争の前進にかかっている。世界の階級闘争から学ぶ闘い、世界に日本の階級闘争を発信していく闘いがともにますます重要になってきている。世界のランク&ファイルにマルクス主義を広めていく闘いも待ったなしだ。このような闘いをやりぬき、階級的労働運動路線をふまえた、国際場裏における党派間交流・党派闘争に躍り込んでいこう。

6 革共同の戦略的路線を示すスローガン

 結論として、戦略的路線を示すスローガンを以下提起したい。
 @世界大恐慌突入をプロレタリア世界革命に転化せよ。
 A戦争・改憲、民営化・労組破壊の攻撃を粉砕し、プロレタリア世界革命の道を切り開こう。
 B労働者階級の力で、侵略戦争阻止・改憲粉砕・日帝打倒をかちとろう。
 C労働者階級の力で、沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒をかちとろう。
 D労働者階級の力で、道州制・民営化攻撃を粉砕し、日帝打倒に向かって前進しよう。
 E三里塚闘争勝利、労農同盟強化、日帝打倒・プロレタリア革命の戦取へ。
 E階級的労働運動路線を圧倒的に貫徹し、プロレタリア世界革命の道を切り開こう。
 Fマル青労同1000人・マル学同1000人の組織を建設し、世界プロレタリア革命へ破竹の進撃をかちとろう。

7 おわりに

 最後に訴えたい。
 「団結の拡大を総括軸」にして、11月1万人決起を断固実現すること。その基礎は、工場・職場・大学細胞の建設だ。その武器は、機関紙『前進』の圧倒的活用であり、党活動の3原則の貫徹である。
 全国で無数に建設されたマルクス主義の学習講座、党学校・労働学校の系統的実践をさらに強めよう。マルクス主義で武装することが、プロレタリア革命への最短コースである。
 さらに、ついにかちとられた綱領草案を徹底論議して確定していこう。これは、プロレタリア世界革命をかちとる宣言である。
 革共同の組織活動は、〈非合法・非公然〉活動を基礎に展開されている。大恐慌をプロレタリア世界革命へ、〈非合法・非公然〉体制を堅持する体制を圧倒的に強化していかなければならない。階級的労働運動の爆発的前進は、1947年2・1ゼネストを見るまでもなく、〈中央委員会と細胞〉をしっかり防衛する闘いを党と階級に課す。
 全世界の労働者階級と団結してプロレタリア革命へ前進しよう!

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