権力のスパイ荒川碩哉を打倒――この歴史的な地平を強大な労働者党の建設とプロレタリア革命の勝利へ

『前進』第2588号(2013年6月17日)

スターリン主義のりこえ

 6・9国鉄闘争全国集会は、2010年4・9政治和解=国鉄闘争解体攻撃を根底から粉砕する歴史的な前進を切り開いた。これと一体の戦いとして、プロレタリア革命運動の偉大な勝利がかちとられた。ついに革命的共産主義運動と階級的労働運動の統一的前進が、日帝国家権力との死闘をめぐり新たな歴史的到達地平をかちとった。
 革命的共産主義者同盟は、全世界・全日本の労働者階級に、日帝国家権力の最高中枢が放った希代のスパイ分子・荒川碩哉(ひろや、1947年生まれ)を摘発し、その階級的犯罪の全貌(ぜんぼう)を徹底的に暴き出した勝利を報告する。革共同は階級闘争史にもまれにみる極悪のスパイ分子・荒川を、階級的労働運動の地をはうような不屈の実践を通して摘発し、階級的・原則的な闘いでスパイ行為の全貌を暴き出し粉砕した。  この日帝権力の最悪の手先は、自らの反革命的所業が暴かれる中で、6月4日、反革命の本性をむきだしにして警察に保護を求めた。この時、自らの家族を含む3人の同志を公安警察に逮捕させ、権力の懐に逃げ込んだのである。
 だが日帝権力は荒川を使ったスパイ活動が摘発・暴露された闘いに震え上がり、判断停止に陥る中で、3同志の勾留請求もできずに釈放せざるをえなかった。
 家族まで警察に売って権力の懐に逃げ込んだ荒川の反革命と極悪さに対して、われわれは煮えたぎる怒りを抑えることができない。膨大な告白文書によってすでに基本的な決着はついているとはいえ、荒川を絶対に見つけ出し、その階級的大罪にふさわしい最後の処断を下す決意である。
 今回の弾圧、そして今後のいかなる権力の取り戻し的な弾圧も、まったく無力である。われわれは、敵権力のぶざまな破産した姿を徹底的に全労働者階級の前に暴き出し、それへの怒りを結集して闘う。どのような弾圧も、徹底的に闘い粉砕することで革命的共産主義運動と階級的労働運動の豊かな実りある発展に転化できるのである。  こうしたスパイとの闘いはこれまで、何か「革命運動の暗部」のように扱われてきた。だがそれは、スターリン主義による革命運動の歪曲と疎外、帝国主義権力への屈服の結果に他ならない。
 労働者階級と密接に結合した党が合法・非合法を正しく配置し結合してスパイ攻撃と闘うことは、スターリン主義をのりこえ、レーニンとボルシェヴィキの闘いを現代に継承し革命勝利の道を打ち固めるきわめて崇高な闘いである。労働者階級に依拠し、階級的労働運動を不屈に推進する闘いこそ、党をあいまいさなく階級性をもって打ち鍛える。党は階級によって不断に検証され、そこから党自身の絶えざる変革と強固な団結を形成していく。この闘いがあればどんなスパイ攻撃も必ず粉砕できるし、それは党にとって価値創造的な闘いになるのである。
 日帝権力とその極悪な手先に対する怒りは、けっして尽きるものではない。この階級的怒りが激しければ激しいほど、それはプロレタリア自己解放の力へと果てしなく融合していく。今回のスパイ荒川の摘発・打倒の闘いの勝利をもって、ついにプロレタリア革命の勝利へ前人未到の挑戦が開始されたのである。

内調・公調に直結していた

 荒川のスパイ活動の全貌は、すさまじいばかりである。1995年から内閣官房長官の管轄下にある内閣官房内閣情報調査室(内調)に直結し、「特別職員」のような位置づけと役割をもってスパイ活動を開始した。内閣情報調査室は、内閣府、警察庁、防衛省、厚労省、総務省などからの出向者で構成される日帝政治権力の中枢中の中枢である。〔6月7日、安倍内閣は「国家安全保障会議」設置関連法案を閣議決定した。それに連動して内閣情報調査室に「諜報員」を配置し、スパイ専門部を新設しようとしている。荒川こそ、この憎むべき策動の先取りであったのだ。今回のスパイ荒川の打倒は、この国家中枢の戦略的狙いを徹底的に暴き直撃したのだ〕
 荒川が内調のスパイとなった1995年とは、日帝の体制危機の深まりの中で日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」が出され、政治支配・労働者支配の転換が始まった時期だった。荒川のスパイ活動の開始は、これと軌を一にしている。ここで荒川は情報提供と引き換えに毎月多額の「報酬」を受け取ることになった。それは今年まで続き、荒川はその金のすべてを隠匿してきた。
 こうした中で、さらに2000年から01年にかけて、荒川は公安調査庁(公調)とも直結し、ここからも多額の金銭を受け取ってきた。なんと荒川は内調と公調の二つのルートを同時進行させ、党の内部情報から全国の情報、さらに「新左翼諸党派」、体制内労働運動に至るまで情報網を張り、情報の分析までやってみせ、それを高く売りつけていたのだ。荒川のスパイ活動は、内閣情報調査室とは18年間に7人の担当者が引き継いで行われ、公安調査庁とは13年間に4人の担当者が引き継いで行われた。
 革共同に奥深くスパイを送り込んだ日帝権力中枢の狙いは何か。
 第一に、戦前から戦後まで、階級政党や労働組合は直接の弾圧でつぶされるよりも、スパイなどによる分裂・分断工作、団結破壊によって自己解体の道をたどるのが常であった。また伝統的に帝国主義権力は、そのために総力を挙げてきた。
 とくに91年「5月テーゼ」以来、日帝権力は革共同の階級的労働運動路線の基軸となった国鉄闘争の解体に全力を挙げた。そのために革共同と動労千葉の解体と分断、分裂策動にのめりこんだ。国鉄闘争の継続と発展は、日帝権力中枢にとって絶対に看過できるものではなく、この闘いの壊滅に彼らは総力を挙げたのだ。荒川の数々の罪状はそのことをあらためて衝撃的に示している。
 荒川が新たに公安調査庁のスパイとなった2000年は、国鉄闘争の「4党合意」が行われ、JRの外注化という「第2の分割・民営化」攻撃が本格化した年だった。この時に荒川のスパイ活動に公調ルートが加わり、荒川はより一層「精力的」になった。また、党の内外で「5月テーゼ」に反対し動労千葉に敵対する策動も激化していった。
 この国鉄闘争破壊策動は、後には10年4・9反革命(国労本部など4者4団体派による解雇撤回闘争の政治和解・終結策動)へと至った。
 しかし、これらの敵の策動は動労千葉を先頭とする断固たる闘いによって、ことごとく破綻してきた。動労千葉の解雇撤回闘争と外注化阻止・強制出向粉砕の闘いはJR資本と日帝権力を追い詰めている。鉄建公団訴訟控訴審の暴力的打ち切り(5・8結審)や、一審判決を出した白石哲裁判長の突然の更迭(白石事件)など、いまや権力の根幹を揺るがす大闘争となって発展している。
 第二に、権力中枢の狙いは反革命カクマルを分裂させ屈服・転向させたように、革共同をも分裂させることであった。
 「革共同解体」を叫び警察と有無通じて武装襲撃を繰り返した反革命カクマルは、1980年代に国鉄分割・民営化攻撃の先兵となり、多くの国鉄労働者を自殺や退職に追い込んだ。この過程でカクマル副議長・松崎明(当時の動労委員長)は権力の完全な手先となり、警察や公調とも濃密な関係を結んだ。カクマルは1999年〜2000年にJR総連派と中央派に分裂し、今やますます日帝中枢の恥多き手先、JRの外注化の先兵となっている。革共同はこの反革命カクマルとの闘いに勝利して、今日まで闘ってきた。

「党の革命」が敵の狙い砕く

第三に、日帝権力中枢は、階級的労働運動路線に敵対する党内の血債主義者の動向をつかんで分析し、それを使って革共同の分裂を必死に策動した。
 血債主義こそ、労働者階級自己解放の力と闘いを否定し、労働者階級を分断し、党の団結を内側から解体するものである。それは「5月テーゼ」以来の革共同の飛躍を押しとどめ、混乱・崩壊へ落とし込めようとするものである。だからこそ血債主義・労働者蔑視(べっし)との闘いは、権力による革共同解体・分裂策動を粉砕する死闘そのものであった。われわれは06〜08年の「党の革命」によってこれに完全勝利し、それによって日帝権力中枢の党破壊策動を完膚なきまでに打ち破ってきたのである。
 「党の革命」で革共同は、労働者自己解放闘争論で武装した党、動労千葉労働運動を徹底的に実践する党に生まれ変わった。さらに大恐慌論と新自由主義論で武装し、非合法・非公然体制の本格的確立のために総決起していった。
 その後、荒川は「党の革命」に敵対した岸、水谷、石川(死亡)【註 死亡説はガセネタ】、藤本や、最悪の分裂主義者である塩川一派の塩川(橋本)、茂木、奥田(死亡)、さらに岩本、結柴、新城ら除名分子と陰に陽に結託し、権力の意を体して彼らをそそのかし、党の分裂・解体を策動した。これがすべて粉砕されると次に荒川は、除名分子に連なる反党分子の甘糟、奥村、浅野、本間、広瀬ら【註 革共同・中央派は12年9〜10月に甘糟、浅野、本間、広瀬の4氏を除名した】とともに新たな党破壊工作、動労千葉破壊工作にのめり込んでいったのだ。
 今なお党破壊のためにうごめいている輩は、己の策動がどれほど権力を利するおぞましい反階級的な犯罪行為であるのかを、今こそ思い知るべきである。
 第四に、日帝権力中枢の狙いは星野奪還闘争の解体であった。荒川は、星野文昭同志と同じく沖縄返還協定批准阻止の渋谷暴動闘争(1971年11月)の被告として長期にわたって獄中にいた。この荒川をスパイに仕立てることで、日帝権力は星野同志をデッチあげで弾圧し、星野同志の闘いを圧殺することに総力を挙げたのである。それは、星野同志の闘いと星野奪還闘争が日帝権力を根底から揺るがす闘いだったからである。そして、何よりも獄中38年の星野同志の存在とその偉大な闘いが、日帝中枢の長年にわたるスパイ策動を粉々に粉砕してきたのである。
 第五に、敵の狙いは革共同の非合法・非公然体制の解体であった。権力は荒川を使ってこの攻撃を狙ったが、われわれはそれを完全に打ち破り、非合法・非公然体制を守り抜いた。
 レーニン以来、非合法・非公然体制を構築する闘いは、いかにスパイが潜入しようとも党の破壊を許さず、党を守り革命に勝利していく決定的な闘いである。合法・非合法、公然・非公然の闘いを正しく配置し強靱(きょうじん)に推進していくことは、革命情勢の接近下での最も核心的な革命的労働者党の任務である。

マルクス主義と階級の団結

 さらに11年3・11(東日本大震災と福島原発事故)の経験は、再び党に一層の変革と飛躍を求めた。それは、福島の怒りと結合した労働者階級の決起を確信し、労働組合の団結を基礎に国鉄決戦―階級的労働運動をさらに白熱的に推進しようということであった。また地区党での討議と一致を総括軸にして、党と労働組合の一体的建設を全力で発展させようということであった。
 この労働者階級の生き生きとした、闘う意欲・情熱と誇りの発揚が、荒川のスパイ活動を摘発し粉砕する大きな力となったのである。
 そもそも帝国主義権力が放つスパイの活動など、初めから根底的に破産しているのだ。何よりも、スパイにも権力中枢にも、党と階級の真実は絶対に見えないのである。帝国主義権力のどんな弾圧も、スパイを使った破壊策動も、マルクス主義と階級的団結の力で武装していれば、絶対に粉砕できるのである。また、「時代認識と路線」で一致していくための絶えざる闘いは、必ず団結を育む不抜の力となるのである。
 革共同は、大恐慌と3・11情勢、新自由主義との激突の中で、国家権力のスパイ攻撃との死闘の勝利を通して、プロレタリア革命の現実性を大きく、大胆にたぐり寄せた。われわれはさらにこの死闘戦を闘う中で、労働者階級と真に結合した革命党としての躍動的力を獲得し、前進していく決意である。13年決戦を全力で闘い、国鉄決戦勝利、再稼働阻止・全原発廃炉、星野同志奪還、改憲阻止、安倍政権打倒へ進撃しよう。
 労働者同志を先頭に、大恐慌下の革命情勢を本物のプロレタリア革命に転化するために、党と労働者階級の団結をかちとり闘おう。

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