《当サイト管理者から》
 荒川碩哉スパイ問題について関西派内部からの初めての公式態度表明である。「荒川碩哉はスパイではない」と正式に結論づけている。ところが、その根拠は、荒川パンフ『スパイ捏造と財産略奪策動を弾劾する』を検証抜きに無前提に正しい、真実である、としているだけである。スパイ問題での判断においては、「安田派中央」が「証拠を出していない」というだけでスパイの真偽を結論づけることはできない。出されている言動、資料すべてについての検証、検討、そこから導かれた政治判断というものが示されてしかるべきであろう。それが無い。荒川スパイ問題という重大な事件への党派としての態度表明なのだから、荒川パンフに全面依拠するのはあまりにもお粗末ではなかろうか。「荒川=白」説としてはおよそ何の説得力もない。それにもかかわらず、初めて「首都圏委員会」を名乗ったということ、初めて「荒川=白」説を表明したことは、何を意味するのだろうか。「全党的な一致は見ていない」と記しており、関西派内部で意見の対立がある中で、あえて態度表明したのだから、分派の名乗りをあげたという意味をもつ。「荒川自白文書(抜き書き)」が明らかになった現在、関西派のその後の動向を注目しておきたい。



『前進』が荒川さんを「スパイ」としたのが2013年6月。当初から我々はこの主張に大きな疑念を抱き、事実の把握に努め討論を重ねてきた。そして2014年12月に荒川さんが自身の潔白を主張するパンフを発行した後も『前進』側が反論も証拠も提出しない中で、我々は「荒川さんはスパイではない」との最終的結論に至った。そして、このような事態を招くような土壌を決別前に清算できなかった責任を自覚し、また自らの今後を律するためにも、党による見解をまとめ上げて内外に公表することが必要と考えてその作業を開始した。いまだ全党的な一致は見ていないが、この問題を巡る首都圏での状況や『前進』側がさらに「スパイ」事件捏造を続けていることを鑑みて、もはや我々が口をつぐんでいることは許されないことであると考えてこのような形で見解を公表することとした。運動全体の力強い展開の一助となれば幸いである。

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◇荒川さんを「スパイ」とでっちあげる安田派を弾劾する

◇革共同のこれまでを総括し、全人民の闘いを発展させるために

                                                  2016年2月10日
                                   革命的共産主義者同盟再建協議会首都圏委員会

●スターリン主義的体質を極める安田派


 東京都江戸川区に事務所を置き、革共同を名乗る安田派は、2013年6月に『前進』2588号で突如、荒川碩哉さんが「スパイ」であったと記載した。荒川さんは、70年安保闘争を闘い15年を超える獄中を超える獄中闘争を闘ってきた人物だ。
 しかし、この時の記事も含めてスパイである証拠はなんら示されないままであった。
 昨年12月に、安田派中央に対する荒川さんからの「スパイ捏造と財産略奪策動を弾劾する」と題する声明が発表された。それにも関わらず、安田派はこれを論駁するような何らの証拠も提出していない。
 安田派はこれ以前にも以降にも、我々再建協議会に結集するメンバーをはじめとする安田派中央を批判する人々に対して、「スパイ」なるレッテルを貼り付けてきた。過去の共産主義運動の中でスターリンが行った悪行を全面化させているのである。
 以上から、荒川さんへの「スパイ」なるレッテルも、異論を唱える者への排除として行われたものと断じざるを得ない。
 2007年までこの安田派中央の人々と同じ党に所属してきた我々にとって、こうした腐敗を他人事として語ったり見過ごしたりすることは許されない。
 我々は『未来』58号と『展望』7号において、白井朗さんに対する革共同中央の暴力的排除に加担したことについて自己批判を発表してきた。そこには、党中央から流される情報について主体的に検証することを怠り、白井さんに対する党中央のデマを容認し加担してしまったからである。白井さんへのこうした排除を許してきたことが、また、90年代終わりからの「スパイ」とレッテルを張って異論を唱える者を排除する革共同中央の堕落を容認してしまったものと痛切に反省する。
 他方、革共同中央は、『展望』1号の飛田論文で暴露したように、本当の権力のスパイについては、取り逃がし、その総括も行わないといったことを続けてきた。
 このことは一切が、官僚主義的自己保身と、人民に対しては単に操作する対象としか考えないその堕落した態度から生み出されたものである。
 共産主義者を名乗る者の中から起こったこの悪行悪風を絶ち、全人民の闘いを発展させるために、こうしたやり方を絶対に容認してはならない。


●権力のスパイ問題について、いかなる態度を取るべきか


 古今東西権力は、人民の闘いの中にスパイを送り込んできた。これに対して、闘う人民の側はいかなる態度を取るべきか。
 スパイ行為を摘発した際には、こうしたスパイをもぐりこませてしまった自らの運動を反省し、その反省とともに、人民に対してこの事実を明らかにすることが必要である。そして、権力に流れた情報については、そのことによって被害を受ける人々に真摯な謝罪とともに、防衛に必要な事項を伝えることが必要だ。そうしなければ、人民の防衛に責任を取る立場を放棄することとなり、人民の闘いの発展に背を向けることになるからである。
 こうした観点から見るとき、安田派の態度はどうか。荒川さんを「権力のスパイ」と初めて記載した『前進』2588号をはじめ、反省も具体的情報開示も皆無なのである。
 『前進』同号によれば、1995年から荒川さんは「スパイ」だったと書いている。仮にスパイ活動を 18年以上も許していたとしたら、これはすさまじい敗北である。「摘発」したからと言って「プロレタリア革命運動の偉大な勝利」などとどうして言えるのか。反省の弁はまるで書かれていない。
 「膨大な告白文書」があると記載しているが、それが「スパイ活動の証拠」だと言うならば、闘う人民の名前を伏せた上で、党内外に公表すべきである。権力につかまれていることを人民には公表しないとすれば、人民を権力の攻撃にさらすことになる。
 また同じ紙面の中で、「荒川のスパイ活動は、内閣情報調査室とは18年間に7人の担当者が引き継いで行われ、公安調査庁とは13年間に4人の担当者が引き継いで行われた」と記載している。そうであるならばなぜ、内閣情報調査室の担当者や公安調査庁の担当者の氏名をはじめとする人定事項を記載しないのか。スパイ活動が本当にあったとしたならば、人民に伝える義務がある。反対に、安田派中央に異を唱えた人々に対しては「スパイ」のレッテルを貼り名前を同紙に書き連ねているのだ。ここからも、安田派中央の意図は明白である。


●官僚的自己保身と人民を操作の対象としかとらえない態度はどうして作られたのか


 人民からの評価ではなく、自らが主観的に前衛であるとする風潮は、左翼の中にある悪しき伝統でもある。しかし、我々は1970年代に入り、対カクマル戦という状況に強いられたとは言え、全人民の闘いやその意義をとらえる姿勢が後退し、「三里塚基軸論」、1990年代からの「国鉄闘争基軸論」の名のもとに、ひとつの課題に限定するような運動を展開するようになる。これは自らの運動に人民を囲い込むことを目的に行われていたと、反省せざるをえない。
 また、集会参加人数を大幅に水増しして宣伝するスタイルも左翼運動の中によくみられた。警察権力が人数を把握していることが明らかな場合でも、人民に水増し情報を流すというその姿勢は人民を操作の対象としかとらえていないことに根拠を置くものである。
 そして80年代以降、指導部の混乱、ソ連崩壊の中で問われた状況への無対応の中で、官僚的自己保身はますます強められ、人民に対する無責任さもますます深まって行った。こうした中で白井さんへの暴力的排除が起こり、90年代後半から「スパイ」というレッテルを貼り付け異論を唱える者を排除する傾向を生み出してしまったのである。
 こうした官僚主義と堕落の党を乗り越えるために、我々は2006年の3月14日、暴力的官僚支配と党費横領を続けていた関西地方委員会の指導部を打倒する闘いを行い、翌年、革共同再建協議会を結成した。
 分裂以来8年を超え、安田派が人民の闘いの妨害物であることは広範な人々の知るところとなった。しかし、われわれ自身が安田派の腐敗を生み出した素地の中にいたことを片時も忘れてはならない。官僚主義を克服することは、不断の自覚と点検の中でしか実現しない。そのために私たちは、安田派の腐敗の事実をとらえ、その原因がどこから来ているのかを究明していかなければならない。この批判ととらえ返しを自らに課せられた課題として取り組み続けていかなければならない。そうしなければ、我々は人民の闘いに資することはできない。
                                                      以上


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